形成外科
形成外科後期研修(専門医育成)プログラム
●目的と対象
当科での研修は、形成外科領域の専門医を育成することを目的としています。
形成外科専門医は、初期臨床研修の2年間と専門研修(後期研修)の4年間の合計6年間の研修で育成されます。
(形成外科の専門医制度の詳細は大阪大学医学部 形成外科Webサイトを参照して下さい。)
当院での研修の対象は、初期臨床研修2年間を修了した医師です。
●内容
- 専門研修 1 年目は、一般的な医師としての基本的診療能力、および形成外科の基本的知識と基本的技能の修得を目標とします。具体的には、医療面接・記録を正しく行うこと,診断を確定させるための検査を行うこと,局所麻酔方法、外用療法、病変部の固定方法、理学療法の処方を行うことなどを正しく行えるようになることを目標とします。さらに、学会・研究会への参加およびe-learning や学会が作成しているビデオライブラリーなどを通して自発的に専門知識・技能の修得を図ります。
- 専門研修 2 年目では、専門研修1年目研修事項を確実に行えることを前提に、形成外科の手術を中心とした基本的技能を身につけてゆきます。研修期間中に 1)外傷,2)先天異常,3)腫瘍,4)瘢痕・瘢痕拘縮・ケロイド,5)難治性潰瘍,6)炎症・変性疾患などについて基本的な手術手技を習得します。
- 専門研修 3 年目では、マイクロサージャリーやクラニオフェイシャルサージャリーなどより高度な技術を要する手術手技を習得します。また、学会発表や論文作成を行うための基本的知識を身につけます。
- 専門研修 4 年目では、3 年目までの研修事項をより深く理解し、自分自身が主体となって治療を進めていけるようにします。さらに、再建外科医として他科医師と協力の上治療する能力を身につけます。また、言語・音声・運動能力などのリハビリテーションを他の医療従事者と協力の上、指示・実践する能力を習得します。
●特に当院での研修で工夫している事
患者の利益になる技術・知識が早く身につくよう、当院の研修では特に「専門性」「忙しく、短く」「追体験」の3つの面で工夫を続けています。
「専門性」
2023年現在、2名の形成外科専門医資格の保持者により厚みのある指導が可能です。
また、他科・他施設からの相談が特に多い症例はできるだけそれを得意とする医師の専門外来に集約しています。これによって治療はさらに洗練され患者に有益なだけでなく、他の医師もそれを学ぶ事ができます。また、蓄積した経験からは学術活動のヒントが生まれます。
「忙しく、短く」
すべての日において外来・手術・回診が同時進行で行われます。各医師は院内Wi-Fiを利用したメッセージングを共有して「いつ、どこで、何が起こっているか」を把握しつつ稼働します。
後期研修医は常にもっとも人手が足らない場所に配置され、研修者にありがちな「その場に居るだけの役割」に陥りにくいようにしています。
カンファレンスは夜間ではなく、手術や外来の空き時間に集合して不定期かつ頻繁に行います。
夜間休日のオンコールをなあなあにすると全員が24時間そこはかとなく拘束されることによる疲労やミスが生じるため、明確なシフト制としています。
「追体験」
形成外科の経験は視覚によるところが多く、継承や伝達がされにくいものです。当院ではデジタルカメラを手術室・外来・病棟 すべてに配備し、気になる経過の記録・見返し・相談ができるようにしています。
写真は患者ごとに保存するので、カンファレンスや症例相談のさいは過去の所見を呼び出しつつ行うことで指導医の体験を効率的に写し取ることができます。
●研修のための手続き
当院は大阪大学医学部形成外科を基幹とした施設群で行われる研修プログラムのおもな研修施設の一つして機能しています。
(詳細は大阪大学形成外科研修プログラムを参照して下さい)
プログラム管理委員会は、毎年7月から説明会等を行い、形成外科専攻医を募集しています。関連施設の中で特に当院での研修を希望する場合でも、前記の募集用Webサイトに掲載されている応募申請書を記入し9月30日までに大阪大学医学部形成外科に提出して下さい。原則として10月中に書類選考および面接を行い、採否を決定して本人に文書で通知する形をとっています。